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税務会計

税務会計とは?財務会計や管理会計との違いを徹底解説!

企業の会計情報をまとめるときに、税務会計、財務会計、管理会計と利用目的によって呼び方を分けるのが一般的です。企業が法人税などを算出するときは、主に税金を計算する目的で手続をすすめるため、税務会計を使用します。税務会計について正しい知識を身につけておかないと、適正な税金計算ができない可能性が高くなります。ここでは、税務会計とは何か、財務会計や管理会計との違いについて詳しく紹介していきます。

1. 税務会計

企業が決算時期を迎えると、その年度中の利益から法人税などが課税される所得を算出する必要があります。税務申告書類を作成するために決算書を作成し、課税額を決定するための会計手続きが税務会計です。税金を納めるにあたり、企業としてはできるだけ所得を抑えて課税額を最小限に抑えたいと考えます。一方で、税金を徴収する税務署としては、収益や費用などの計上が適正であるかを確認し、課税額をできるだけ正確なものにしたいと考えるため、企業と税務署との意識は同じではないのです。 日本の企業のうち大部分を占めている非上場企業では税務会計を重視し、上場企業では税務会計に加えて税効果会計を適用するケースが多くみられます。税効果会計とは、財務会計で計算される利益と税務会計で計算される所得は一致しないことがあり、その違いを調整し適切に期間分配する手続のことです。しかし、非上場企業では、法人税の支払額が経営に与える影響が大きいうえ、外部株主に決算書を公開することが少ないため、税務会計を中心に手続きをすすめる傾向が強いのです。

Ⅰ. 税務会計と財務会計の違い

税務会計、財務会計ともに会計という同じ分類ですが、それぞれの会計手続の目的が異なります。両者の違いについて誤って認識していると、会計処理上でミスが生じやすくなるため注意が必要です。まず、税務会計の目的は正しい税額を求めるために行うものです。そして、財務会計は、株主や銀行といった利害関係者に対して企業の財政状態や経営成績を報告するための会計です。税務会計は、財務会計の内容を元にしながら、正しい税額を求めるための税務申告書を作成するのが主な役割になります。一方で財務会計は、利害関係者に対して企業の財政状態や経営成績を正しく伝えるための財務諸表を作成するのが主な役割です。

Ⅱ. 財務会計と管理会計の違い

管理会計とは、主に社内など内部に対して経営状況を把握してもらうための会計です。財務会計を見やすいように加工するケースが多く、企業ごとに独自のルールで作成されています。管理会計の主な目的は、社内の部署ごとに経営状況や営業成績を把握し、今後の目標を設定するために用いられます。一方で、財務会計は既に発生した取引の内容から、経営状況を把握するための会計です。財務会計が株主や銀行など利害関係者に経営状況を報告するのに対して、管理会計は主に内部で使われます。そのため、管理会計は財務会計をベースにしていますが、社内で運用しやすいように独自の運用方法で処理することが多くなっています。例えば、売上の勘定科目を商品台数に変更したり、人件費を労働者数や稼働時間から算出したりといったように、社内の人が分かりやすく扱いやすいようにルールを決めているのです。 管理会計をベースに実施する予実管理は、今後の課題や戦略を考えるときに役立ちます。予実管理は、経営会議や幹部会議などでも用いられることが多く、月次予算と実績を比較しながら予算達成率や予算達成できなかった場合の原因を見極めていく重要な管理業務です。予算と実績を数値化することで、課題や今後の対策を考えられます。社内の誰もが見やすい予実管理を実施するためには、それぞれの会社に合った管理会計を行うことがポイントです。

2. 簿記と税務会計の違いにつまずくパターン

会計業務には簿記の知識が欠かせませんが、簿記の知識が浅いと税務会計をきちんと理解できず、それが業務の妨げになっているケースがあります。企業の経理や財務担当者は簿記の知識を持っており、主にその知識を日々の業務に生かしながら仕事をすすめています。ところが、簿記の知識は財務会計をベースにしているため、税務会計と財務会計の区別がつきにくいのです。それが、簿記と税務会計の目的や理解を困難にしている原因です。 企業では、税務申告の際など会計手続において顧問税理士などからアドバイスを得る機会が多々あります。税理士は、簿記と税務会計の違いについて十分理解していますが、簿記の知識しかない経理担当者と対応したときに、意思疎通がうまくできないことがあるのです。それが原因で税務申告業務に支障が出ることがあります。また、基本的に申告手続きは1年に一度の作業であり、日々の仕分け業務は簿記の知識をベースに行っています。そのため、税務会計について十分な知識を得る機会が少ないだけでなく、頻繁に行われる税制改正の影響で申告書のフォーマットが変わるため、経理担当者がつまずきやすいのです。

Ⅰ. 似ているけれど全く異なる言葉の意味が理解できない

財務会計と税務会計は同じ会計業務ですが、業務の違いや目的によって概念は似ていても使われている用語が異なります。それらの言葉を正しく理解できないと、業務でつまずいてしまうことになるのです。財務会計では、収益と費用という用語を用いますが、税務会計では益金と損金といった用語を使います財務会計の収益は、税務会計と益金と一致する場合もありますが、完全には一致しません。また、財務会計の費用も税務会計の損金と一致する場合もありますが、完全には一致しません。
財務会計で収益でも税務会計では益金とならない場合、益金不算入と言います。財務会計で費用でも税務会計で損金とならない場合、損金不算入と言います。
例えば、受取配当金は、財務会計上収益ですが、税務会計上一部益金とならないため、これを益金不算入と言います。一方駐車違反の罰金は、財務会計上費用ですが、税務会計上損金とはならないので、損金不算入となります。
また、財務会計上は、売上等の収益の計上時期について発生主義と現金主義の2通りが考えられますが、税務会計上は発生主義となります。発生主義とは、商品・製品なら納品完了時点、サービスならサービスの提供が完了した時点をもって収益計上する考え方です。一方、現金主義は、実際に取引先から入金があった時点で初めて収益計上する考え方です。つまり発生主義の方が現金主義と比較して収益の計上時期が早いのです。
なお、税務会計では、繰越欠損金(過去の税務上の赤字)が有る場合、財務会計上の利益があっても税務会計上法人税が課税されない場合があります。
これらの点を理解することで財務会計と税務会計の違いが理解できるようになります。

Ⅱ. 決算書と申告書の違いが理解できない

決算書を作るための財務会計と、税金の申告書を作成するための税務会計についてそれぞれの考え方の違いが理解できていないケースが見られます。財務会計的な思考とは、企業の一定期間の正しい利益を算定することを目的としているのに対し、税務的思考とは企業の一定期間の正しい所得から税額を算定することを目的としています。財務会計的な思考では、計算方法についてその企業の状況を適切に反映して作成し、利益を少なくする保守的な考え方を採用する場合が多くなっています。 一方で税務的思考では税務署への対応を考えると、主観よりも客観的な立場を重要視する傾向にあります。そのため、本来は損金として処理したくても税務署に認められない可能性を考えて、所得が適正な規模になるように判断をすることになるのです。それぞれの考え方の違いを理解しておくと、会計業務の目的も分かりやすくなるでしょう。

Ⅲ. 3つの会計の目的やゴールが理解できない

税務会計、財務会計、管理会計の3つの会計の目的をきちんと理解しておかないと、業務でつまずくことになります。税務会計は税金の申告、財務会計は株主や銀行などの利害関係者へ経営状況を伝えること、管理会計は社内で予実管理を行うなど内部報告で使うための目的であることを理解しておきましょう。それぞれの会計業務は目的が異なるため、業務に対する考え方が異なります。どれも、適切に会計業務を行う上で必要な考え方であるため、考えが偏らないようにすることが大切です。 簿記の知識を習得していれば、財務会計、税務会計、管理会計ともに全て理解できると勘違いしがちです。確かに簿記は、全ての会計業務に共通する基礎的な知識を学べますが、それだけでは節税対策まで対応するのは難しくなります。幅広い経理や会計業務に対応できるようにするためには、簿記の知識だけでなくそれぞれの会計業務の目的や考え方の違いを理解することが求められます。

3. 税務会計を正しく理解するため簿記の知識を身につけよう

税務会計は税金を申告する目的で行う会計業務であり、管理会計や財務会計とは目的と考え方が異なります。税務会計について正しく理解するためにも、簿記の知識を学んだり身につけたりすることが求められるのです。簿記を学ぶ方法はいろいろありますが、正しく簿記の知識を習得するためには、大手のスクールに通って資格を取得するのが近道です。「日商簿記3級独学教室」に掲載されている大手のスクールに資料請求をして、簿記の資格取得を目指しましょう。

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