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簿記とは

簿記とは何なのか?最低限知っておくべき知識を分かりやすく解説!

企業や個人事業主の日々の営業に関わる取引を記録しまとめるのが「簿記」です。ビジネスパーソンの一般常識として、最低限知っておくべき会計の知識・方法ともいえます。簿記を学ぶうえでは、基本的な知識を身に付けることが必要です。本記事では簿記を学び始めたい人に向けて簿記とは何か、簿記の目的や役割などの基礎知識を分かりやすく説明し、簿記を学ぶ必要性やメリットなどを紹介します。

1. 簿記とは

簿記とは企業の日々の営業活動を記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする方法です。簿記にしたがって書かれた書類は、企業の毎年の決算に必要な資料であり作成が必須です。企業に関わる株主やスポンサー、税務署などに報告する義務も生じます。つまり、簿記とはあらゆる業種や企業にとって必要な知識・スキルといえるのです。 簿記は自社の経営状況を把握するために必要ですが、税務署や社内外の利害関係者に客観的に状況を報告するための方法でもあります。そのため、一定のルールにもとづいて帳簿に分類・整理して記入することになっているのです。このルールは日本においては「企業会計原則」で定められています。日本の企業会計の憲法とも言われているのが企業会計原則ですが、国際的な基準と比べてみてもほぼ同じ内容となっています。

Ⅰ. 簿記の目的

簿記の目的とは、企業の成長のために過去の取引から課題を発見し新たな計画を立てることといえます。そのために重要なのは、過去の取引を一定のルールで、つまり、簿記のルールで記録することです。 具体的には、一事業年度の経営成績を明らかにするために「損益計算書」という書類を作成します。また、決算日の財政状態を明らかにするために「貸借対照表」という書類の作成が必要です。企業の財政状態や経営成績をまとめた書類は総称して「財務諸表」と呼ばれますが、このうち貸借対照表と損益計算書は、キャッシュフロー計算書と並んで「財務三表」という特に重要な書類に位置付けられています。

Ⅱ. 簿記でやるべきことは

取引を会計データに変換して、最終的に財務諸表を作成するのが、簿記でやるべきことです。簿記で行う作業の流れは「取引から仕訳を作成」「仕訳を勘定科目ごとに転記」「残高試算表を作成」「決算整理と財務諸表の作成」4ステップに分かれます。この流れを簿記の用語では「簿記一巡」と呼んでいます。 「取引から仕訳を作成」は、商品の仕入や販売実績などを記録するステップです。企業によって資材を扱ったり、無形のサービスを提供したりと形は様々でしょうが、企業活動をする以上何らかの取引が発生しているはずです。それを仕訳(区分して整理すること)して「仕訳帳」という帳簿に記録します。 次のステップは「仕訳を勘定科目ごとに転記」することです。このステップでは仕訳帳に記述された内容を「総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう)」に転記します。総勘定元帳は費用や収益などの「勘定科目(かんじょうかもく)」ごとに合計(残高)を計算するための帳簿です。なお、簿記では書き写すことを転記と表現します。 「残高試算表を作成」のステップでは、総勘定元帳に正しく転記されていることを確かめるために「残高試算表(ざんだかしさんひょう)」を作成します。実務において残高試算表は「T/B(ティー・ビー)」と呼ばれることも多い集計表です。 「決算整理と財務諸表の作成」のステップは1年間の損益計算を行うための修正作業です。財務諸表を作成する前に不備があった場合は「仕訳を勘定科目ごとに転記」のステップに戻りながら作業を進めます。決算整理の具体的な作業は、期末日時点で手元にある商品を数える「実地棚卸(じっちたなおろし)」をすることや、期末においてまだ処理していない取引を「決算整理仕訳」に記述するなどです。正しい損益計算ができたら財務諸表を作成して完了です。

2. 簿記とはビジネスパーソンの必須知識

ビジネスパーソンに必須の知識が簿記です。企業の規模や業種に関係なくお金の流れがあって、それを記録することが欠かせないからです。お金の流れを把握することは、簿記を直接仕事とする以外のビジネスパーソンにとっても重要といえます。簿記によってお金の流れが見えてくると、企業の経済活動への理解が進みます。財務諸表の知識があれば、経済ニュースなどを深く理解できるようになることができるのです。 自分の会社や取引先の経営状況を把握できるようにもなります。例えば経理以外の専門的な仕事では、自分の仕事の範囲に限られて利益の追求という根本的な目的を忘れてしまうこともあるのではないでしょうか。簿記の知識があれば全体の中で自分の仕事を位置付けたり、経営者的な視点で自身の仕事を見直したりすることもできるのです。もちろん、就職や企業内でのキャリアアップ、他の資格などへのステップアップにも役立ちます。

3. 簿記の知識が役立つ仕事

簿記とはビジネスにおける一般常識として会社の経営状況を把握するために必要な知識です。その意味で、社会人全般に役立つのが簿記といえます。簿記は幅広い仕事の分野で需要が高い資格ですが、特に関係が深い職種をいくつか紹介します。 会社の経理は、費用の清算や売上げの入金確認などをするため、簿記検定2級以上のスキルが求められることが多い職種です。製造業の経理部では原価計算などの業務で簿記の知識が役立ちます。 公認会計士は主に大企業の監査として、財務諸表が正しく作成されているかをチェックするのが主な仕事です。公認会計士になるためには、公認会計士試験に合格しなければなりませんが、日商簿記1級以上の知識も求められます。したがって、公認会計士を目指すにしても、まずは簿記の資格取得から始める人も多いのです。
財務諸表作成から税務申告を行うことが主な業務の税理士も、国家資格が必要な職業です。日商簿記1級よりさらに高度な知識が求められるため、公認会計士と同じく簿記の資格取得から始める人が少なくありません。簿記と関係が深い公認会計士や税理士の事務所の事務員も、簿記2級以上のスキルが求められるのが一般的です。採用条件の一つになっていることが多いため、事務員になるには簿記の資格取得が有利です。 経営者や個人事業主の場合は最低限、簿記3級レベルの知識が求められます。直接的な仕事は経理や税理士に任せられますが、それでも財務諸表を読む力が欠かせません。税理士に顧問になってもらう場合でも、書類を理解し、自分の責任で承認する必要があります。

4. 簿記の資格について

簿記の資格取得を目指すなら、まずは簿記3級から始めましょう。簿記検定には「日商簿記」「全商簿記」「全経簿記」がありますが、最も有名で社会的に信頼性が高い日商簿記がおすすめです。この日商簿記の3級では職種や業種を問わずビジネスパーソンが身に付けておきたい基礎的な知識が問われます。 具体的には、小規模の企業におけるお金の流れを理解し、経理関連の書類を作成するための知識が求められるのが簿記3級です。出題内容はビジネス実務に即した内容です。簿記3級は社会人として活躍できる人材の育成の意味も込めて実施されています。そのため、参考書などのテキストに載っていない、社会人として活躍するための資質を見極める問題が出ることもあります。

5. 簿記の資格取得のメリット

簿記の資格がこれほど高い人気なのは、就職や仕事に役立つことが多いからです。経理や営業でも簿記の用語を知らないと仕事の内容がよく分からないことが多いですし、業務を効率的にできません。経営者においても、四半期報告書や連結財務諸表、キャッシュフロー計算書など自社の状況を把握するのに簿記の知識は重要です。 また、キャリアアップのために簿記の資格を3級から順に取得するのも良い方法です。簿記3級を取得すると、商店や小規模企業の経理が理解できるようになりますが、簿記2級の資格に進むと中小企業から大企業までの経営状態が分かるようになります。簿記1級の資格を取得すると経営分析や経営コンサルティングに知識を活用することも可能です。簿記1級を取得して、次のステップとして税理士や公認会計士を目指す人もいます。それぞれの段階でキャリアアップを目的として企業の活動を正確に読み解く力と経営管理能力が身につくのが簿記の資格取得のメリットです。これから簿記の勉強を始める人は、最初の大きな一歩として、まずは簿記3級の資格取得から目指してみてはいかがでしょうか。

6. ビジネスパーソンの一般常識として簿記を学ぼう

簿記の知識が身に付けば、ビジネスパーソンとしての企業会計の一般常識が分かるようになります。また、就職や転職にも有利です。これから簿記の勉強を始める場合、自分に合った勉強方法を検討し、効率よく勉強することが重要といえます。資格取得のためには、独学でなく講座を受講するのがおすすめです。日商簿記3級独学教室が紹介している大手資格試験予備校の通信・通学講座で資格取得を目指すことをおすすめします。

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