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会計の本

簿記3級レベルでも読める!簿記の初学者におすすめの会計本!

会計について学ぼうと思い書店に行ったものの、種類が多くてどの本を選べばいいか迷ってしまったという経験はないでしょうか。本から会計の知識を得るには、会計の種類や基礎知識について知っておくことが重要です。この記事では、本を購入する前に知っておきたい知識や、全くの初心者におすすめの本を1冊、簿記3級レベルの方におすすめの本を1冊、上級者向けの本を1冊ご紹介します。

1. そもそも会計とは?

会計の語源は、中国の史記に出てくる「計は会なり」という言葉だと言われています。ここでいう計とは「正確に話すこと」、会は「増えること」を意味しており、直訳すると「増えたことについて正確に話す」といった意味になります。つまり会計とは、企業がどれだけ儲かっているか、財務状況はどうなのかを簿記で記録し、報告するまでの一連の流れのことになります。報告する相手は事業にお金を出してくれている利害関係者で、株主総会や銀行での資金調達の説明において会計を通して事業の業績を報告します。身近な例でいうと、家計も家族全員を利害関係者とみなした立派な会計ととらえることができます。

2. 本選びに必要な会計の種類の知識

会計と一口にいっても財務会計(商業簿記)、管理会計(工業簿記・原価計算)、財務分析(経営分析)といった様々な種類があります。まずは自分が学びたいカテゴリをはっきりさせて、スムーズに本選びができるよう準備しておきましょう。初心者であれば、企業会計で最もよく用いられる財務会計から勉強するのがおすすめです。

Ⅰ. 財務会計とは?

財務会計とは、会社の財政状態や経営成績を外部の利害関係者へ開示するために行われるものです。会社の経営状況を公表するためには貸借対照表や損益計算書などを作成する必要があります。これらの書類は個人事業主やフリーランスの人の確定申告にも使われるため、ビジネスを始めようと考えている人であれば企業の経理担当者でなくとも学んでおいて損はないでしょう。また財務会計には、経営状況を投資家や銀行などに示す情報提供機能と、自社と利害関係者との利益をめぐった対立を未然に防ぐ利害調整機能の2つが存在します。利害関係者がそれぞれの企業の業績を把握しやすいよう、財務会計には全ての企業に共通のルールが設けられていることも特徴です。

Ⅱ. 管理会計とは?

財務会計が企業外部に公表するためのものであるのに対し、管理会計は社内で経営状況を把握するために行われます。社内の業務プロセスからデータの収集や加工を行い、工業簿記や原価計算のレポートをもとに経営の現状を把握していくというものです。レポート形式に特別なルールや制限はなく、適切な経営の意思決定ができるよう、それぞれの会社で独自のルールが設けられているのが特徴です。管理会計は主に取締役会の資料作成や事業計画書の策定をする際に利用されます。

Ⅲ. 財務分析とは?

財務分析とは、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表から企業の経営状況を分析することにより、企業の「収益性」「安全性」「生産性」「成長性」を測定することです。財務分析により、経理担当者が自社の問題点を発見して、経営者の経営判断に役立てます。

3. おすすめの会計本

Ⅰ. 初心者向け:はじめての人の簿記入門塾


簿記の知識・経験が全くない人向けの会計本です。簿記3級を受験する前に簿記とは何かを学ぶことができます。この本だけで日商簿記3級に合格することは難しいですが、とっかかりの1冊としておすすめです。ポイントが漫画で分かるうえ、簿記の用語やルールを初心者でも理解できるよう丁寧に説明しています。
また、手を動かして問題を解きながら簿記を覚えられます。簿記は手を動かしながら仕訳を体で覚える学問です。言い換えるなら、「習うより慣れろ」形式で習得する実学です。この本は簿記の基本である仕訳に多くのページを割いている点においても一流の会計本です。
累計15万部以上売れていますので、会計本の中ではベストセラーと言って良いと思います。まさに会計の入門書として最高の1冊です。会計の分野としては財務会計(商業簿記)の内容になります。

Ⅱ. 簿記3級レベルの人向け: Yahoo!ファイナンスで速攻決算書分析


税理士が書いた日商簿記3級レベルの知識がある人向けの財務分析(経営分析)の本です。
日本国内の全上場企業の決算情報を無料で見ることができる投資総合情報サイトのYahoo!ファイナンスを利用して財務分析を勉強することができます。
就職活動中の学生さんであれば就職希望先の企業の財務安全性を分析することができるようになります。社会人であれば、取引先の財務状況を分析したり、ライバル企業の強みや弱みを分析することができるようになります。また、勤務している自社の将来性も分析できるようになります。投資家であれば、株価が上昇しそうな企業を予測することができるようになります。実務家が書いたインターネット時代に適合した非常に分かりやすい実践的な会計本です。

Ⅲ. 上級者向け:グロービスMBAアカウンティング


グロービス経営大学院が著者のMBA(Master of Business Administration)シリーズの会計本です。財務会計(商業簿記)だけでなく管理会計(工業簿記)や財務分析(経営分析)の内容も含まれるため、日商簿記2級から部分的には1級レベルの知識がある人向けの本です。複数の業種の具体的なケースが記載され、経営の意思決定にまで会計を活用することができるようになります。MBAとは日本語で経営学修士であり、修士号レベルかつ実務的な色彩の強い会計知識を身に着けることができます。

4. 会計本を選ぶときのポイント

会計には複数のカテゴリが存在するため、まずは財務会計(商業簿記)、管理会計(工業簿記)、財務分析(経営分析)など勉強するカテゴリを絞り込んでから本選びに入りましょう。カテゴリを選ぶコツは、自分がなぜ会計を学びたいかをはっきりさせておくことです。決算書を読み解いてビジネスに活かしたいのか、経理の仕事で実務に使えるレベルまで学びたいのかなどで選ぶ本も変わってきます。会計本といっても経営者向けや営業マン向けなど本によってそれぞれ特徴があるため、一括りにしてしまわず実践で役立つ知識が習得できるかどうかを基準にして選ぶといいでしょう。またレベルに関しても、全くの初心者でも理解しやすいものから簿記3級レベルの知識が必須のものなど様々です。財務諸表を使った経営や意思決定につながる内容のものはどちらかといえば上級者向けなので、初心者であれば財務3表の基礎知識から学びはじめることをおすすめします。会計本は数字が苦手な人にとってはとっつきにくい印象があるかもしれませんが、初心者でも十分理解できる本も多いため、諦めずに自分のぴったりの本を探してみましょう。

5. 会計本の理解を深めるなら簿記3級の取得がおすすめ

簿記や貸借対照表、損益計算書の話が出てくる会計本を読むのであれば、少なくとも簿記3級レベルの知識を身につけておくことが理想です。簡単な仕訳ができるレベルのスキルがあったほうが用語なども理解しやすく、ストレスなくスムーズに本を楽しむことができます。簿記3級の取得から目指すのであれば、専門講師の授業が受けられる大手予備校の通信講座や通学講座を利用すると理解が深まりやすくなるため、おすすめです。

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