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簿記における資産

簿記における資産とは?3つの資産と5大勘定をやさしく解説!

簿記を理解するうえで欠かせないのが、「5大勘定」といわれる5つの勘定についての知識です。本記事では、そのうちの一つである「資産」に焦点を当てて、そもそも資産とは何か、資産にはどのような種類があるのかを詳しく解説していきます。また、資産に関するその他の勘定項目についても触れていきますので、この機会にしっかりと理解していきましょう。

1. 簿記の資産とは?

簿記における資産というのは、一言でいえば「会社の財産」のことです。財産と聞くと単純に現金や預金などの「お金」を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実はそれだけではありません。会社が所有している土地や建物、備品など、経済的に価値のあるものは全て会社の財産、つまり、簿記上の「資産」に該当するのです。ただし、企業の人的資源やブランド価値は資産に含まれないので注意しましょう。なぜなら、あるものを簿記上の資産かどうかを判断するうえでは、「その価値をお金に換算できるかどうか」が一つの判断基準になるからです。
土地や建物はお金に換算することができますが、人的資源やブランド価値は一概に価格として算出できるものではありません。したがって、企業を経営するうえで重要なものであっても、簿記上の資産には該当しないのです。また、資産は大きく分けると「流動資産」「固定資産」「繰延(くりのべ)資産」の3つに分類されます(詳しくは後述)。資産は簿記の「5大勘定」と言われている勘定の一つです。基本的な知識になるので、ポイントを押さえてしっかりと理解していきましょう。

2. 資産の種類

この段落では、簿記における資産の種類について解説します。それぞれの資産の特徴や、具体的にどのようなものがその資産にあてはまるのかを押さえておきましょう。

Ⅰ. 簿記上の資産の種類1:流動資産

3つに分類される資産のうち、1つ目は「流動資産」です。流動資産を理解するうえでは、「正常営業循環基準」と「ワン・イヤー・ルール(1年基準)」という言葉を知っておかなければいけません。まず、正常営業循環基準は、「その資産が正常な営業サイクルのなかで生じた資産であれば、流動資産に分類する」という会計上のルールです。たとえば、材料の仕入れや商品の製造・販売の過程で生じた資産がこれにあたります。さらに、この基準に該当しない資産のうち、「1年以内に現金に換えられるもの」も流動資産に分類されます。これがワン・イヤー・ルールです。では、具体的にはどのような資産が流動資産に分類されるのでしょう。代表的な6つの例を紹介します。
まず、1つ目は「現金」です。小切手もこれに含まれます。2つ目は銀行や郵便局などに預けている「預金」、3つ目は取引先などの相手側が支払いを約束する「受取手形」です。また、代金をその場で受け取らずにいわゆる「ツケ」にすることがありますが、そうした「売掛金」も期日になったら支払われる予定のため、流動資産に該当する4つ目の資産になります。5つ目は、株式や債券などの「有価証券」です。最後に6つ目として、在庫などの「棚卸資産」も、売却することでお金に換えられるため、流動資産に分類されます。

Ⅱ. 簿記上の資産の種類2:固定資産

2つ目は「固定資産」です。固定資産というのは、一般的に1年以上の長期に亘って使用、あるいは利用する目的で保有している資産のことを指しています。資産を分類していく大まかな流れとしては、まず正常営業循環基準に照らし合わせ、その後、ワン・イヤー・ルールを基に流動資産か固定資産かを振り分けていきます。具体的に固定資産に分類されるのは、企業が所有している土地や建物、トラックなどの車両運搬具、投資有価証券などです。また、オフィスにあるデスクや椅子、パソコンなどの備品も固定資産です。固定資産は、さらに「有形固定資産」「無形固定資産」「投資その他の資産」の3つに細かく分類することができます。土地や建物のように目に見える形があるものを有形固定資産、営業権や商標権、著作権といった目に見える形が無いものを無形固定資産と言います。また、投資有価証券などを含むそのほかの固定資産が「投資その他の資産」です。

Ⅲ. 簿記上の資産の種類3:繰延資産

3つ目は「繰延資産」です。繰延資産を理解するうえで大切なポイントは、実は「資産ではなく費用である」という点です。どういうことかというと、本来、繰延資産は費用に分類されるべき項目であるものの、将来に亘って効果が期待できることから一旦資産として計上した後、数年間に亘って償却していくものだからです。具体的に繰延資産に分類されるものには、「創立費」「開業費」「開発費」などがあります。なお、繰延資産は項目ごとに償却期間が決められています。たとえば、創立費、開業費、開発費は5年、株式交付費は3年、社債発行費は社債の償還期限内とばらつきがあるので注意しましょう。なお、この段落で紹介した3つの資産勘定は「貸借対照表」の借方(左側)に記載されます。

3. 資産以外の5大勘定

次に、資産に関連する勘定について説明します。

Ⅰ. 資産以外の五大勘定1:負債

負債は企業にとってマイナスの財産です。例えば、企業が外部からお金を借りている場合は、返済の義務がある、いわゆる「借金」ですから、負債に分類されます。また、支払手形なども後々支払う必要があるため負債です。このように、いつか誰かに支払うべき一定の債務のことを負債と呼びます。ちなみに、負債勘定は貸借対照表の貸方(右側)に記載されます。

Ⅱ. 資産以外の五大勘定2:純資産

純資産は、簡単にいえば資産から負債を差し引いたものです。つまり、株主からの出資金や過去にその会社が稼いだ利益です。純資産は「資本」又は「自己資本」とも呼ばれます。具体的な勘定項目は「資本金」です。なお、純資産勘定は貸借対照表の貸方(右側)、かつ負債の下に記載されます。

Ⅲ. 資産以外の五大勘定3:収益

「収益」は儲けに関係する勘定のため、資産には直接関係しませんが、5大勘定の1つに数えられています。5大勘定には、財政状態に関する「資産」「負債」「純資産」の3つの勘定に加えて、「収益」「費用」の儲けに関係する2つの勘定があるのです。なお、収益というのは、簡単に言えば商売を通して企業が得た収入のことです。単純に商品を売った売上だけでなく、サービスの対価として受け取った売上も収益に含まれます。たとえば、運送会社の運送料やバス・電車などの運賃が収益に当たります。具体的な勘定項目は、「売上高」「受取利息」「受取手数料」「雑収入」などです。

Ⅳ. 資産以外の五大勘定4:費用

「費用」は収益と同じく儲けに関係する勘定項目です。費用というのは、簡単に言えば企業活動を行ううえで必要な「経費」のことです。例えば、運送会社であれば、商品を運送する際にガソリン代や高速道路料金がかかってくるでしょう。このように、収益をあげるために必要な経費が費用に分類されるのです。また、費用には従業員の給与といった人件費も含まれています。その他にも、広告宣伝費や水道光熱費、雑費、オフィスを借りている場合には家賃なども費用です。

4. 基本を抑えることが簿記取得の近道

今回紹介した5大勘定は、簿記の基本的な知識です。簿記を身につけるためには、資産をはじめとした勘定科目を理解する必要があるでしょう。疑問点を解消しながら正しく内容を理解したいのであれば、やはり独学よりもスクールなどを利用したほうが効率的です。「日商簿記3級独学教室」では大手予備校の簿記の通学・通信講座を紹介しています。自分に合ったスクールを見つけて簿記取得を目指しましょう。

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