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簿記初級

簿記の資格を取りたい!簿記初級の試験は難しい?

簿記の資格を取得したいと考えたときに、まずは取得しやすいものから受験してみようと思う人は多いのではないでしょうか。簿記の試験は、いきなり1級を受験することも可能ですが、基礎知識が備わっていなければ合格するのは難しいと言わざるを得ません。この記事では、簿記の入門である簿記初級の試験形式や内容、難易度などについて紹介します。

1. 簿記初級は難しい?難易度の目安とは

簿記初級は、2017年4月から実施されています。2017年2月までは簿記4級が存在しましたが、簿記初級の創設に伴い廃止されました。簿記初級の難易度は、3級よりも少し易しいとされています。

Ⅰ. 簿記初級の合格率

簿記初級の合格率は、約60%です。ただし、簿記は、上位から何%が合格するという方式ではありません。簿記初級の場合は、100点満点中70点以上を取れば合格です。簿記初級だけではなく、1~3級も70%以上正解すれば合格という方式を取っています。しかし、1級だけは1科目ごとに正解率が40%を切ってはいけないという決まりがあります。満点の科目が複数あっても、極端にできない科目があっては合格できない仕組みになっているということです。受験する人たちの平均点に関係なく、70%以上正解できれば合格であるため、問題が難しければ合格率は下がりますし、問題が簡単であれば合格率は上がります。簿記3級よりも簿記初級のほうが合格率が少し高いといわれていますが、受験者数や実施回数も大きく異なることから参考程度にとどめておくのが無難でしょう。合格率を判断基準にするよりも、確実に70%以上の点数が取れるよう総合的に理解を深めることが必要だといえます。

Ⅱ. 簿記初級の出題範囲

簿記の基本原理・期中取引の処理・月次の集計が簿記初級の出題範囲となっています。簿記の基本となる用語や複式簿記の仕組みを理解しているかどうか確かめるような内容です。一部に2級や3級で出題される範囲のものが含まれますが、難易度が上がるわけではなく、上位級で求められる技能の基礎となる部分を問われる設問になります。簿記4級の範囲だった決算処理に関しては、簿記初級では出題範囲に含まれていません。

a. 簿記の基本原理

基礎概念(資産・負債・資本、損益計算書と貸借対照表の関係)・取引(取引の8要素と結合関係)・勘定(勘定記入法則・貸借平均の原理)・帳簿(主要簿と補助簿)・証票と伝票(入金伝票・出金伝票・振替伝票)

b. 期中取引の処理

現金預金・売掛金・買掛金・その他の債権と債務(貸付金・借入金・未収入金・未払金・前払金・前受金・立替金・預り金・仮払金・仮受金)・手形・商品(3分法)・固定資産(減価償却)・純資産(資本金)・収益と費用・税金

c. 月次の集計

試算表(合計・残高・合計残高)による月次集計を行い、数値を読み取る。

Ⅲ. 出題形式

大きくわけて3つの設問があります。商工会議所の公式Webサイトに簿記初級のサンプル問題が掲載されていますので、チェックしてみて下さい。
第1問:四択の理論問題10問(30点)
第2問:仕訳問題10問(40点)
第3問:試算表の金額推定問題(30点)

2. 簿記初級試験はネット受験!

簿記初級の試験は、インターネット形式の試験です。ただし、自宅で受けられるわけではありません。商工会議所に認定されたネット試験施行機関で受験することができます。

Ⅰ. 簿記初級の試験日程と受験料

全国にあるネット試験施行機関ごとに試験日程が決められているため、行きやすい試験会場をいくつかピックアップして都合の良い日時に開催しているところへ申し込んで受験ができます。1~3級は年に3回しかチャンスがありませんが、簿記初級は自分の勉強の進み具合に合わせて好きなタイミングで受験することができるというメリットがあるのです。
簿記初級の受験料は、2,160円です。3級は2,800円ですので、3級よりも手頃な価格です。受験料の支払方法は、試験会場によって異なります。事前に銀行振込をするところもあれば、試験当日に現金で支払うところもあります。試験会場を探すときに、支払方法もあわせて調べておくのがおすすめです。試験当日に現金で支払う場合には、受験料分の現金を持って行くのを忘れないように気をつけましょう。

Ⅱ. 簿記初級の試験時間

簿記初級の試験時間は、40分間です。3級は120分間ですので、かなり短い印象です。筆記試験ではないのも、短く設定されている要因かもしれません。簿記初級の試験では、最初に名前や住所などの必要事項をパソコンに入力します。入力が完了すると、試験開始のボタンが現れます。ペーパーテストのように全員一斉に試験を始めるわけではありませんので、パソコンの入力速度に自信がなかったとしても慌てる必要はありません。試験開始ボタンを押してから40分間が、問題を解く時間です。パソコンの画面に残り時間が表示されますので、時計を忘れてしまっても大丈夫です。40分が経過していなくても、終了ボタンを押せばそこで終了となります。早めに解き終わったら見直しをしてもよいですし、そのまま終了して帰ることもできます。

Ⅲ. 簿記初級の合格発表

簿記初級の試験は、終了ボタンを押すとすぐに試験結果がパソコンの画面に表示されます。即日で合否判定が出るのは、ネット試験ならではのメリットだといえるでしょう。合格証明書はカード型となっており、試験が終わってから1ヶ月以内に郵送で送られてきます。

Ⅳ. 事前に体験版を触ってパソコン操作に慣れておく

商工会議所の公式ホームページには、ネット試験の操作体験版が設置されています。パソコン操作に不安がある人はもちろん、試験当日は緊張してしまう可能性がありますので、パソコン操作に慣れている人も事前に操作体験版を触っておくことをおすすめします。普段あまりパソコンを触らない人でも、試験当日は試験監督がその場にいますから、困ったことがあれば声をかけましょう。

Ⅴ.簿記初級の注意事項

筆記用語の持込みが禁止されています。また簿記1級~3級で行われる計算用紙の配布がありません。
電卓・そろばんの使用は可能ですが、電卓は計算機能のみの電卓に限られます。印刷機能・メロディー(音が出る)機能・プログラム機能(関数電卓等)・辞書機能がある電卓は持込不可となります。ただし、日数計算・時間計算・税計算・検算機能はプログラム機能に該当しないものとして、これらの機能のある電卓は持込可能です。
スマートフォンやタブレット端末の電卓機能は使用不可です。

3. スッキリわかる日商簿記初級

Ⅰ. 著者・監修者:滝澤ななみ
Ⅱ. テキストの金額:1,000円(税抜)
Ⅲ. 特長

大手資格試験予備校「資格の学校TAC」の講師滝澤ななみさんが著者の簿記初級受験用テキスト・問題集です。日本商工会議所の公認テキストでもあります。テキストと問題集が一体となっているため、テキストを読んだ後すぐに問題を解くことができます。分かりやすいイラストや図が多用され、可愛い猫キャラ「ゴエモン」が解説してくれます。また、読者限定で、本番と同様のネット上模擬試験形式で本書に掲載された問題を何回でも解くことができます。

4. 土日で合格る日商簿記初級

Ⅰ. 著者・監修者:資格の大原
Ⅱ. テキストの金額:1,200円(税抜)
Ⅲ. 特長

大手資格試験予備校「資格の大原」が作成した日商簿記初級受験用テキスト・問題集です。日本商工会議所の公認テキストでもあります。簿記初級の全試験範囲を網羅的に学習することができます。簿記初級のオリジナル予想問題も3回分載っています。

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