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財務の資格

財務の仕事に就きたい!財務系の資格をご紹介!

財務の仕事は常に一定の人気がありますが、専門性がある仕事なので全く知識なしで業務を行うことは難しいことも事実です。そのため、現実的に財務の仕事をしようと考えるなら、資格を取得することが必須となるでしょう。そこで、今回の記事では財務の仕事を目指す人に役立つ資格をご紹介します。また、これらは現在財務の仕事をしていて、キャリアアップを目指す人にも有効な資格になっています。

1. 財務の仕事の基本を知ろう!

財務は企業の資金などに関わる仕事ですが、具体的にはどのような業務を行っているのでしょうか。ここでは、財務と似た業務である経理と比較しながら、その業務内容を解説します。

Ⅰ. 財務と経理の違いについて

財務と経理は混同されることが多く、専門知識が無い人はその違いについて分からない人も多くいます。経理と財務の違いを端的にいうなら、現在のお金に関することか、未来のお金に関することかの違いということができるでしょう。例えば、経理は会計の仕事の一部とされており、個人でいえば「家計簿」をつけるような業務をメインとして行っています。会社の場合は家計簿の代わりに「会計帳簿」を付けて日々のお金の流れを把握します。このように現在のお金に関する業務が、経理の仕事になっているのです。また、帳簿を付ける以外にも会社の備品などの資産管理や決算書作成なども経理の仕事です。
これに対して、財務は会社の資産運用などをメインに行っていく仕事になります。経理が作成した決算書などを基にして、その企業の資金使用方法の意思決定をします。これは前述した通り現在ではなく、未来のお金に関する業務といえるでしょう。

Ⅱ. 財務の具体的な仕事内容

財務の具体的な業務として知られているのは、会社の資金調達や投資、M&Aなどの資産運用業務です。また、会社の予算を管理して計画を立て、実際の行動に移す役割もあります。経理は現在のお金の流れを把握することが主な業務でしたが、財務は会社の意思決定にも関わる重要な役割も果たしているのです。また、これらの各業務が独立して行われるのは、大企業に多いことも特徴の一つになっています。組織規模が小さい中小企業の場合は経営者が財務と経理業務の両方を自分で行っていたり、経理が財務を兼任したりすることも少なくないからです。

2. 財務の仕事で役立つ資格1:日商簿記検定

日商簿記検定は財務の仕事で役立つといわれている資格の一つです。その概要や特徴を見ていきましょう。

Ⅰ. 日商簿記検定の概要

日商簿記検定は日本商工会議所が実施している資格です。企業の財務諸表を読む力や経営管理に関する知識を身につけることができる資格とされ、1~3級と初級が用意されています。具体的には、3級は中小企業の経理事務や青色申告に関する書類作成知識、2級は財務諸表から経営状況を分析する知識、1級は大企業向けの会計基準等の専門的知識を学びます。このような内容から、財務の仕事として日商簿記検定の資格を生かそうと考える場合は、2級以上の合格を目指すと良いでしょう。また、受験資格に制限はないため、努力次第でいつでも資格取得を目指せることも魅力です。

Ⅱ. 日商簿記検定の特徴

日商簿記検定の最大の特徴はその知名度にあります。財務や経理に興味のない一般の人々の間でも知られている資格であり、自分自身のスキルアップはもちろん、第三者に能力を分かりやすく証明するのにも役に立つでしょう。そのため、財務に関するスキルのベースとして取得する人も多くなっています。実際に日商簿記検定は財務や経理に必要な知識力を測るための資格なので、財務の仕事を目指すなら最初に取得しておきたいものです。また、このように抜群の知名度を誇るため、豊富な教材が各社から販売されていることも大きなメリットといえます。教材が多いということは自分に最適なもので勉強する機会も増え、多くの人にチャンスが広がることを意味するからです。

3. 財務の仕事で役立つ資格2:FASS検定

FASS検定も財務の仕事で役立つ資格といわれています。日商簿記検定と同様に、その概要や特徴をまとめて見ていきます。

Ⅰ. FASS検定の概要

経済産業省が財務や経理のスペシャリスト育成を目的として実施しているのが、FASS検定です。FASSという特徴的な文字は「Finance Accounting Skill Standard」という英語の頭文字を取ったもので、日本だけではなくグローバルな視点も意識されています。具体的に検定を構成するものは在庫などに関する知識を問う「資産分野」、企業IRなどに関する知識を問う「決算分野」、消費税などに関する知識を問う「税務分野」、有価証券などに関する知識を問う「資金分野」の4つになっています。
また、日商簿記検定と同じく特別な受験資格は設けられておらず、年齢などに関係なく試験を受けることができるシステムです。公式学習ガイドなども作成されているので、興味がある人はそのような教材を使って勉強するのが良いでしょう。

Ⅱ. FASS検定の特徴

FASS検定の大きな特徴は実践に即した、実務的な内容を多く含むということです。そのため、FASS検定で学習したことを企業内の仕事ですぐに生かせるというメリットがあります。FASS検定は元々、経済産業省が発案して50社の先進企業の経理・財務幹部により開発された検定という背景があるので、このような実務的な内容になっているのです。また、日本を代表するような大企業が導入を始めていることも有名で、財務に関するスキルを企業に証明するためには最適な資格の一つです。なお、試験結果は合否判定ではなく、A~Eのレベルで判定されるようになっています。つまり、現状の財務能力が試験によってランク分けされるということです。

4. 財務の仕事で役立つ資格3:ビジネス会計検定

ビジネス会計検定という資格も財務では役に立ちます。他の資格と同じく、その概要や特徴を把握していきましょう。

Ⅰ. ビジネス会計検定の概要

ビジネス会計検定は財務諸表から企業の経営状況を知るための、分析スキルが身に付く資格です。この資格も財務の仕事と直結しているため、実用性は高いといえます。実施機関は大阪商工会議所と施行商工会議所で、3級~1級までの試験を受けることができます。試験はマークシート方式で行われ、1級は年に1回の試験、その他は年に2回試験日が設けられています。また、年齢などで受験資格を区切られることもないため、やる気があれば誰でも勉強して試験を受けることができます。そのため、間口は広いといっても良いでしょう。

Ⅱ. ビジネス会計検定の特徴

ビジネス会計検定の最大の特徴は、経営分析スキルの取得に全力を挙げているということです。経営分析スキルとはその名の通り、会社の現状分析をするための能力を指します。そのため、学習範囲は明確であり、教材のボリュームも他の資格に比べて少なめといわれています。広く浅く勉強するよりは、特定の箇所に特化した学び方になるのです。ビジネス会計検定はこのような特徴を持つことから、資格取得のためには必ずしも簿記の知識は必要としません。勉強する分野が極端に絞ってあるため、簿記の知識がなくても身に付くスキルだからです。したがって、ビジネス会計検定単体ではなく、他のものと並行して取得することでより総合的に実力を深められるような資格ともいえます。

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