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簿記1級の合格率

難関国家資格並み?日商簿記1級の合格率とおすすめの勉強法!

日商簿記1級は大企業での経理が勤まるレベルの知識をもっている証明となります。経理や会計職でのスキルアップを目指すなら、是非取得しておきたい資格です。しかし、日商簿記1級は簿記検定で最高難易度を誇るため、合格するのは容易ではありません。十分な勉強時間を確保し、計画性をもって学習を進める必要があります。この記事では、日商簿記1級の概要や合格率を紹介し、合格率の低い理由やおすすめの勉強法について説明します。

1. 日商簿記1級の概要

日商簿記1級は、日商簿記検定の中で最上位に当たります。日商簿記1級の試験が実施されるのは、例年6月と11月の2回のみです。年に3回実施される簿記2級や簿記3級とは異なり受験に挑戦できる機会が1回少ないため、注意しましょう。
日商簿記1級では、商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4科目の受験が必要です。試験は1日かけて行われますが、試験にかかる時間自体は4科目のトータルでわずか180分、つまり3時間です。商業簿記と会計学を90分で解き、休憩を挟んで工業簿記と原価計算を90分で解きます。配点は各科目25点ずつで、4科目合計して100点満点です。
合格の基準となるのは70%以上の得点です。しかし、日商簿記1級では「足きり制度」を採用しており、4科目のうち1科目でも得点率が40%を下回ってしまうと不合格となります。たとえ4科目合計で70点以上を得点できたとしても合格できません。1科目の配点が25点でその40%が足きりラインなので、10点以下の科目が1科目でもあってはいけないということになります。

2. 日商簿記1級の合格率

日商簿記1級の合格率は、概ね10%前後です。税理士や公認会計士などの難関国家試験の合格率もおよそ10%前後なので、日商簿記1級の難易度は難関国家資格並みと考えて良いでしょう。難しい試験であることに間違いはありません。
なお、日商簿記の他の級の合格率は、簿記3級で40%~50%、簿記2級は15%~30%です。比較的合格率が高い簿記3級は、10人受けて4人が合格でき、より難易度が高く合格率が低い簿記2級でもおよそ4人に1人が合格しています。これが簿記1級になると10人に1人しか受からなくなるため、桁違いに合格率が低いことが分かるでしょう。

3. 日商簿記1級の合格率が低い3つの理由

前述の通り、日商簿記1級の合格率は10%前後と低く、非常に難しい資格試験です。それでは、どうしてそんなに合格率が低いのでしょうか。ここでは、その理由について説明します。

Ⅰ. 日商簿記1級はとにかく試験範囲が広い

日商簿記1級は、科目数は4科目と多くないものの、それぞれの試験範囲が非常に広く、テキストは全科目をトータルすると1,000ページを超える厚さになります。ところが、各科目の配点はわずか25点しかなく、試験時間も4科目で180分しかありません。つまり、膨大な量の知識を学んでも、試験で問われるのはそのうちのごく一部のみです。頻出傾向の問題はありますが、何が出題されるか分からないため、苦手な項目をなくして、満遍なく学ぶ必要があります。
試験範囲を全て履修することが難しい場合、出題されそうなポイントに絞って勉強しようと思うかもしれません。しかし、絞って勉強した項目以外が出題されてしまえば、その科目で得点することは困難です。全ての試験範囲を一通り学習したものの理解度にばらつきがあるケースも、苦手分野の問題が出れば合格率は相当下がってしまうでしょう。
上記の通り、日商簿記1級は足きり制度を取り入れていて、4科目全てで40%以上取らなければなりません。苦手な科目は捨てて得意科目を集中的に勉強し、点を稼ぐといった手段は使えないのです。日商簿記1級に合格するためには大量の試験範囲をもれなく学び、理解する必要があります。

Ⅱ. 計算問題では1つのミスが大量失点につながることがある

日商簿記1級に限ったことではありませんが、簿記の試験では、問2を解くには問1を正しく解答する必要があり、問3を解くには問1と2を正解しなければならないといったパターンで出題されることがあります。
そのため、序盤に計算ミスをしてしまうと、以降の解答にも影響して全て連鎖的に間違えてしまう可能性があります。これは大量失点につながってしまうので避けなければなりません。計算問題ではたった1つの計算ミスによって大量に点を失う可能性があるので、間違えないように1問1問確実に解答していくことが求められます。

Ⅲ. 受験生のレベルが高い

日商簿記1級の難易度が高い理由は、10%前後という統計上の合格率の低さだけでなく、受験生のレベルが高いことにあります。殆どの受験生は簿記2級を取得済みのうえ、税理士試験や公認会計士試験の受験生の一部が受験してきます。したがって、純粋に日商簿記1級のみを目指している受験生の合格率は、統計上の合格率よりも低いことになります。

4. 日商簿記1級に合格するための攻略法

日商簿記1級は試験範囲が非常に広いため、テキストを丹念に読みこんでいると時間がいくらあっても足りません。また、インプットばかりしていると、問題を解こうとしたときに知識をスムーズにアウトプットできず制限時間内に解くことができないということも起こりえます。そこで、ざっと理解できたら早い段階で実際に問題を解いてみると良いでしょう。問題を解く過程で分からないことがあれば、テキストの該当する箇所に戻って学び直します。その過程で、問題を解くプロセスや全体の流れが見えたり理解が深まったりするようになるでしょう。問題は、解けば解くほど力がつきます。
日商簿記1級は簿記2級に比べて格段に難しいと言われますが、ベースとなるのは簿記2級までに習得した知識です。そのため、簿記1級でつまずく場合は、簿記2級までに身につけたはずの基礎知識を忘れてしまっている可能性があります。そこで、簿記1級の学習がスムーズに進まないときは、いったん簿記2級や簿記3級のテキストに立ち返って基礎を固めなおすのも良い方法です。簿記1級の勉強をするべきなのに簿記2級や簿記3級の学習をしている場合じゃないと焦るかもしれません。しかし、簿記に限らずどのような分野でも基礎は大切です。基礎知識をしっかり学び直すことで、以降の学習がスムーズに進むようになることもよくあります。
日商簿記1級で出題されるのは、簿記2級でも学んだ商業簿記と工業簿記の2科目と、新たに加わった会計学と原価計算の2科目です。効率的に学ぶなら、範囲の重なる科目を同時に勉強すると良いでしょう。まずは商業簿記と会計学を同時に、その後に簿記2級で学んだ経験のある工業簿記を、最後に工業簿記の考え方が役に立つ原価計算という順番で勉強すると理解しやすいです。

5. 日商簿記1級合格には独学よりスクールがおすすめ

これまで説明してきたように、日商簿記1級は合格率が低く極めて難易度の高い資格試験です。合格するのに必要な勉強時間は、簿記3級や簿記2級の知識がしっかり身についているところから始めて500時間~600時間ともいわれています。これは、仮に1日に2時間の勉強時間を確実に確保しても1年~2年はかかる計算です。1発合格しなければ学習しなおすことになりますので、1,000時間を超える人もいるでしょう。独学では理解できない内容があっても誰かに教えてもらうことはできないため、分かるまで自力で調べる必要があり、非効率です。解決するまでに時間がかかり、なかには挫折してしまうこともあるでしょう。
日商簿記1級ほど合格率が低く、多くの勉強時間が必要な難関資格の取得を目指すなら、独学で試行錯誤するよりも、スクールで学ぶほうが圧倒的に早く合格に近づきます。スクールは、日商簿記1級の試験内容に詳しい講師が要点を押さえたテキストを使って講義しますので、効率的な学習が可能です。例えば、資格受験の大手予備校である「資格の学校TAC」は、講師全員が日商簿記1級を取得しています。実際に合格を勝ち取った講師達は受講生がつまずきやすいポイントを熟知しています。そのため、分かりやすい講義が受けられるでしょう。
「資格の学校TAC」は、通学講座のほかに様々な通信講座も用意しています。振替受講ができるなど学習を続けるためのフォロー体制も充実しているので、試験を受ける時まで安心して勉強を進められるでしょう。日商簿記1級取得を目指す多くのライバルたちは、スクールを利用して効率的に学んでいます。本気で合格を目指すのであれば、「資格の学校TAC」の簿記講座の資料を請求し、受講を検討してみてはいかがでしょうか。

合格率10%の壁を突破して日商簿記1級を取得しよう!

日商簿記1級の概要や合格率が低い理由などについて説明し、おすすめの勉強法も紹介しました。日商簿記1級は大変難しい資格です。しかし、だからこそ挑戦する価値があると言えるでしょう。取得すれば仕事のスキルアップにつながり、より良い職場に就職又は転職する展望が開ける可能性が有るなどメリットがあります。独学での合格は容易ではありませんので、スクールを上手に活用して合格を勝ち取りましょう。

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