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簿記を活かせる仕事

簿記を活かせる仕事とは?日商簿記で就職・転職できる仕事を徹底解説!

転職の求人情報にも書かれることの多い簿記。様々な種類や級のある簿記資格は、自分が就きたい仕事に合ったレベルの資格取得を目指すことが理想です。しかし、初めて簿記を勉強する人にとっては、どの検定試験や級を選べばよいか分からないこともあります。そこで、就職・転職に必要な簿記資格の種類や各級の特徴、就ける仕事などを解説します。

1. 簿記の種類と特徴

簿記資格には、日商簿記検定・全経簿記能力検定・全商簿記実務検定の3種類があります。結論を先に言えば、これらのうち取得をおすすめできるのは日商簿記だけです。3つの検定の特徴を知ることで、その理由が分かるでしょう。
日商簿記は日本商工会議所が主催している検定で、主な受験者は大学生や社会人です。年間44万人ほどの受験者がいる人気資格であり、企業が求める資格ランキングの1位になった級もあります。つまり、最も知名度が高く、企業の人事担当者が必ずと言って良いほど知っている資格であり、就職や転職に有利なのが日商簿記なのです。
全経簿記能力検定は全国経理教育協会が主催している検定です。主な受験者は経理専門学校生で、受験者数は年間6万人程となっています。受験者数は日商簿記に次いで多いものの、日商簿記の約14%に過ぎません。
全商簿記実務検定は全国商業高等学校協会が主催する検定です。主な受験の対象者は商業高校の生徒で、受験者のうち実に99.5%は高校生です。知名度が低いうえ、高校生を対象とした資格とみなされている風潮があります。そのため、大学生や社会人へのおすすめ度は低いと言えるでしょう。
そのため、就職や転職など、仕事上のメリットを考えれば、ネームバリューが高い日商簿記の検定を選ぶのが最適なのです。

2. 簿記の各級における想定レベルと学習内容

仕事に役立つ簿記資格を取得するには、日商簿記検定の学習内容と想定している企業規模を確認し、自分の目指すレベルに向けてステップアップすることが必要です。ここでは簿記の各級における想定レベルと学習内容を紹介します。

Ⅰ. 簿記3級の想定レベルと学習内容

簿記3級の学習内容は、ビジネスパーソンが身に付けておくべき経理関連の仕事の基礎知識に設定されています。そのため、業種を問わず、多くの企業から評価される資格といえるでしょう。以前は個人事業者を想定した資格でしたが、試験内容に変更があり、現在は小規模会社が対象となっています。出題科目は商業簿記のみで、日常的なお金の流れを仕訳し、簡単な決算書類の作成や企業活動の記録ができるかどうかが問われます。

Ⅱ. 簿記2級の想定レベルと学習内容

簿記2級は、いわゆる中小企業における経理関係の仕事を想定した学習内容になっています。財務諸表の作成だけでなく、記入するそれぞれの数値の本質的な意味を理解していることも求められます。そのため、実際の経理管理に役立つ知識という意味で、簿記2級は多くの企業から最も求められている資格です。
出題科目は商業簿記と工業簿記の2科目で、簿記3級の内容に連結決算業務や株式に関する学習が加わっています。かつて連結決算業務は簿記1級の対象でしたが、現在は簿記2級で出題されるようになったことから、試験の難易度がやや上がっています。

Ⅲ. 簿記1級の想定レベルと学習内容

簿記1級の学習内容は、上場企業のように大きな会社での経理関係業務を想定しています。つまり、簿記2級が基本的に1社を対象としているのに対し、簿記1級では企業グループ全体の連結決算業務の問題も出題されるのです。また、会計基準や会社法などの法的知識、経営分析の知識なども求められます。
出題科目は商業簿記、工業簿記、原価計算、会計学の4科目です。海外企業との取引を視野に入れた外貨換算会計の問題も出題されるなど、かなり高度な試験といえるでしょう。簿記1級は公認会計士や税理士など国家試験への登竜門とも言われています。簿記1級に合格することで税理士試験の受験資格も得られるため、次のステップアップを目指すことも可能です。

3. 簿記資格の取得で就ける仕事

簿記の資格は求人の資格要件などに書かれることも多く、就職や転職に有利であることは間違いありません。ただし、簿記資格の取得で就ける仕事は、取得している級によって大きく違ってきます。そこで、日商簿記の各級を取得すると、どのような仕事に就けるようになるのか紹介していきます。

Ⅰ. 日商簿記3級の取得で就職・転職できる仕事

日商簿記は企業の人事担当者なら、100%知っているといっても過言ではないでしょう。ですから、日商簿記3級を取得していれば、自分の能力をアピールすることができ、就職・転職においても有利です。具体的には中小企業の会計補助職として働けるチャンスが増えます。特に派遣社員という雇用形態ならば、非常に多くの求人があります。借方・貸方や資産・負債、純資産、費用と収益などの知識を持っていることが認めてもらえますから、会計補助職として雇用されやすくなるのです。
会計や経理の仕事は、実務経験を積んだ人が重宝されます。そのため日商簿記3級を取得して派遣社員で実務経験を積み、次に日商簿記2級を取得してキャリアアップするのもおすすめの方法です。実務経験を積んでいけば、実践的なスキルも学べるでしょう。営業や販売など他の仕事も、財務的な視点から見る力が養われてきます。
転職とは関係ありませんが、例えば個人事業主やフリーランスなど、税理士に丸投げしていた確定申告を自分で行うために、日商簿記3級を取得する人もいます。日商簿記3級があれば、帳簿を用意して、自力で確定申告を完了することができるでしょう。

Ⅱ. 日商簿記2級の取得で就職・転職できる仕事

日商簿記2級を取得すれば、財務諸表から経営状況が分かるという証になります。そのため、中小企業の会計職や経理職に正社員として採用されやすくなります。また、公認会計士や税理士事務所における正社員の応募条件にも、日商簿記2級が書かれていることが多いようです。面接などに進んで就職・転職のチャンスをつかむためにも、日商簿記2級の取得はとても役立ちます。
将来的に、さらなるステップアップを目指して転職する場合にも、実務経験が重要になります。そのため、まずは会計職や経理職に正社員として働くことが大切です。また、士業の国家資格を目指す場合でも、税理士や公認会計士の事務所で働きながら、専門的な実務経験を積むのが一般的です。このようなキャリアアップに役立つ実務に携わるチャンスを得られやすくなるのも、日商簿記2級の特徴です。

Ⅲ. 日商簿記1級の取得で就職・転職できる仕事

日商簿記1級を取得していれば、経理部長など、将来の会計管理職候補としてキャリアアップすることも現実的になります。また、上場企業の会計職への就職、転職にも有利です。有価証券報告書を読みこなせるため、財務データの分析や事業動向を予測する部署で活躍できる可能性も広がるでしょう。
大企業の求人に出ることの多い簿記1級は、連結決算処理の実務経験があるのが理想です。というのも、大企業では子会社を持っているのが一般的で、連結決算処理のスキルを求められることが多いからです。しかし、誰もが初めから大企業に就職して、連結決算処理の仕事に従事できるわけではありません。そのため、中小企業や会計事務所、税理士事務所で働きながら日商簿記1級を取得して、その後、子会社もあるような中小企業で連結決算の実務経験を積むというのが、理想的な流れと言えます。

4. まずは日商簿記の勉強から始めてみよう

就職先や転職先を考慮しながら、日商簿記3級から順に取得を目指すとよいでしょう。取得した級が上がるにつれて応募できる求人は増えていきます。また、会計や経理部門での転職・就職を目指すのであれば、取得しておいて損のない資格でもあります。仕訳などの知識が全くない人の場合、参考書などを買って独学するよりも資格取得の講座に申し込むのが効率的な学習方法です。

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