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簿記の表

簿記は表が命!それぞれの役割と学習のポイントを解説!

簿記は会社の規模に関わりなく、経営活動を記録・計算するという大切な役割を果たします。そんな簿記では、表の活用が必要不可欠です。簿記では大きく分けて3つの表が活用されますが、簿記3級の試験も表を理解していることが重要です。そこで、この記事では簿記の表が持つ役割と、学習する際のポイントを紹介します。この記事を読めば、簿記3級の資格取得に向けた表の学習方法が分かるでしょう。

1. 簿記に必須な表の役割

簿記では表の活用を避けて通ることはできないので、まず表の役割について押さえておきましょう。簿記の表は、お金の流れを可視化するためのものです。材料の仕入や商品の販売そして給料の支払いといったお金の流れを表にすることでお金の出入りを管理することができて分かりやすくなります。簿記3級においては必ず表を活用した問題が出題されるので、表は必須の学習項目です。特に表に関する問題は、点数の配分も高くなっています。
簿記の表を埋めるときは、誰が行っても同じ表になるようにしなければなりません。簿記の表における共通点は、1つ取引があった場合に、記録しなければならない勘定科目は1つだけではなく2つ以上であるということです。例えば、銀行から融資を受けて会社のお金が100万円増えたとします。この場合、現金預金と言う資産の増加を表す借方が100万円増えることになりますが、同時に借入金という負債の増加を表す貸方も100万円増えることになります。この記載方法を複式簿記といい、ほとんどの企業ではこの複式簿記が採用されているのでしっかり理解しておきましょう。

2. 簿記で活用する表その1:試算表

試算表とは、「売掛金」「売上」「買掛金」「仕入」など各勘定科目の数字をまとめた表のことです。決算をしていく過程の前段階の集計表と言い換えることもできるでしょう。試算表は、仕訳帳から各勘定口座へ転記が正確に行われているかどうかを検証する役割があります。試算表には3つの種類があるので、その3種類の表について一つずつ説明します。

Ⅰ. 試算表の種類1:合計試算表

まず、合計試算表は、各勘定の「借方合計」と「貸方合計」のみを集計した表のことです。合計試算表では、「借方」の合計額と「貸方」の合計額は一致するのが特徴です。この表を活用すれば、転記ミスを見つけ出すのが容易になります。また、企業の一定期間の総取引金額を確認することもできます。その一方で、貸借差額を計算しなければ各勘定科目の残高を知ることはできません。

Ⅱ. 試算表の種類2:残高試算表

2番目の残高試算表は、各勘定科目の残高のみを表す表です。合計試算表とは異なり残高をすぐに把握できるため、「貸借対照表」や「損益計算書」を作成する際に活用すると非常に便利です。合計試算表と同じように、「貸方」の合計額と「借方」の合計額は必ず一致します。この表のデメリットは、転記ミスがあったときに判明しづらいということです。

Ⅲ. 試算表の種類3:合計残高試算表

3番目に挙げる合計残高試算表は、その名の通り合計試算表と残高試算表を合わせた表のことです。合計残高試算表を見れば、企業の一定期間の総取引金額と各勘定科目の残高のどちらも知ることができます。そのため、お金の流れを全体的に把握しやすいのが特徴です。
合計残高試算表は、合計試算表と残高試算表を基にしながら作成していきます。試算表の中で最も見やすいものの、作成するときに一番手間がかかる表でもあります。作成し終えたら、借方残高金額と貸方残高金額の合計、借方合計金額と貸方合計金額がそれぞれ一致していることを確認しましょう。

Ⅳ. 【試算表】簿記3級の試験に向けた学習のポイント

試算表の問題を短時間で解くためには、自分なりの時短テクニックを取り入れることがおすすめです。例えば、「受取手形」を「う手」、「売掛金」を「う×」などというように、自分の覚えやすいもので省略文字を作っておきます。
問題文を読むときにはまずどの試算表を作成するのかを確認し、3種類の表から適した表を作成していきます。記入ミスがないように、数字を書き込む箇所は随時よく確認しながら表に記載していくことが大切です。表の作成が完成したら、借方と貸方の合計額が一致しているかをチェックして、間違いがないかどうか確かめます。

3. 簿記で活用する表その2:精算表

精算表とは、「試算表」「修正記入」「損益計算書」「貸借対照表」を一覧にして決算整理をしていく表のことです。では、簿記で活用する精算表について見ていきましょう。

Ⅰ. 精算表とは

簿記で使用する精算表とは、決算整理手続を1つにまとめた表のことです。決算整理前の残高試算表の数字を記載したうえで決算整理仕訳を修正記入し、損益計算書と貸借対照表を作成します。損益計算書と貸借対照表の作成過程を確認でき、決算の流れを一覧で表示できます。精算表があることで、決算の流れを視覚的に分かりやすく表すことができます。
精算表は、簿記3級では必ず出題されるとても大切な表です。精算表について理解しておくと、簿記3級の学習を効率良く行うことができるので、しっかりマスターしておきましょう。

Ⅱ.【精算表】簿記3級の試験に向けた学習のポイント

簿記で活用する精算表を学習・作成するときには、ポイントを押さえておくと助けになります。短時間で正確に作成できるようになるためには、簿記3級の過去問などを利用して演習を繰り返すことが大切です。精算表に関する問題は問題文にボリュームがあることが多いですが、何度も演習を繰り返しておくことで出題パターンに慣れることができるでしょう。
問題を解くときには全問正解を目指すのではなく、部分点を稼ぐことを目標にすることもポイントです。修正記入欄だけを縦に埋めていくのではなく、横一列を埋めるようにすることで部分点を稼げます。演習をするときから「1.修正記入、2.損益計算書、3.貸借対照表」の順で埋めていき、簿記3級の試験に向けた演習を繰り返すことで合格に近づけるでしょう。

4. 簿記で活用する表その3:財務諸表

最後に、簿記で使用する財務諸表について紹介します。

Ⅰ. 財務諸表とは

財務諸表とは、年に1回の決算において作成される書類の総称です。簿記で使用する財務諸表には、主に4種類の書類があります。その4つとは、「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書」「キャッシュフロー計算書」です。「貸借対照表」により、決算日の企業の財政状態を確認します。「損益計算書」は、その一年間の企業の経営成績を把握するためのものです。「株主資本等変動計算書」は、貸借対照表の純資産の変動状況を把握するために使われます。「キャッシュフロー計算書」は、企業の現金の流れを一年間分表したものです。
これらの書類は、株主や債権者などの利害関係者に向けて企業の財政状態や経営成績などを報告する際に使用します。融資を受ける金融機関や、経営に大きな影響を与える株主などに会社の状況を知らせるために必要な書類です。

Ⅱ. 【財務諸表】簿記3級の試験に向けた学習のポイント

財務諸表は主に外部に向けた表であるため、精算表から導き出した数値を表記するのがポイントです。また、社外の人が見て理解できるように、勘定項目を分かりやすく変換しなければなりません。例えば「精算表」の「繰越商品」は「財務諸表」では「商品」、「精算表」の「売上」は「財務諸表」では「売上高」などと書き換えます。精算表と財務諸表では勘定科目の表記が若干異なるので注意しましょう。

5. まとめ

簿記に必須である表は難しく思えるかもしれませんが、内容をよく理解したうえで決められたルールに沿って行えば必ず作成することができます。作成が終わったら、合計金額を確認するなどしてミスがないように気をつけることがとても大切です。ここで紹介した表のルールや作成のポイントをつかんで、簿記の表をしっかりとマスターしましょう。特に短期間で簿記の表作成をマスターして得点源としたい方は、大手資格試験予備校の簿記講座の受講を検討されることをおすすめします。

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