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商品売買

商品売買とは、文字通り商品を売ったり買ったりすることです。商品を売ることを「売上」といいます。商品を売るために買うことを「仕入」といいます。会社や個人商店は、商品を仕入れて売り上げることで利益を得ることができます。

 

 現金売買

設例1

100円の商品を売って現金を受け取った。

借方 金額 貸方 金額
現金 100 売上 100

現金(資産)が100円増加し、売上(収益)が100円増加します。

 

設例2

50円の商品を仕入れて現金を支払った。

借方 金額 貸方 金額
仕入 50 現金 50

仕入(費用)が50円増加し、現金(資産)が50円減少します。

 

 掛けによる商品売買

掛けというのは後からお金を支払うということです。売上の時は後から現金を受け取ることになり、現金を受け取る権利(資産)が生まれます。これを売掛金といいます。仕入の時は後から現金を支払うということですから、現金を支払う義務(負債)が生まれます。これを買掛金といいます。

 

設例3

100円の商品を売って代金は掛けとした。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 100 売上 100

売掛金(資産)が100円増加し、売上(収益)が100円増加します。

 

設例4

50円の商品を仕入れ代金は掛けとした。

借方 金額 貸方 金額
仕入 50 買掛金 50

仕入(費用)が50円増加し、買掛金(負債)が50円増加します。

 

 売上戻り・値引き・仕入戻し・値引き

売上戻りとは売上げた商品が返品されることであり、売上値引きとは売上代金を値引きすることです。仕入戻しとは、仕入れた商品を返品することであり、仕入値引きとは仕入代金を値引きしてもらうことです。

 

設例5

100円の商品を売って代金は掛けとした。売上げた商品のうち50円が品違いで返品された。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 100 売上 100

売掛金(資産)が100円増加し、売上(収益)が100円増加します。

 

借方 金額 貸方 金額
売上 50 売掛金 50

売掛金(資産)が50円減少し、売上(収益)が50円減少します。

 

設例6

100円の商品を売って代金は掛けとした。売上げた商品のうち20円の値引きを行った。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 100 売上 100

売掛金(資産)が100円増加し、売上(収益)が100円増加します。

 

借方 金額 貸方 金額
売上 50 売掛金 50

売掛金(資産)が50円減少し、売上(収益)が50円減少します。

 

設例7

50円の商品を仕入れて現金を支払った。仕入れた商品のうち20円を返品した。

借方 金額 貸方 金額
仕入 50 現金 50

仕入(費用)が50円増加し、現金(資産)が50円減少します。

 

借方 金額 貸方 金額
現金 20 仕入 20

仕入(費用)が20円減少し、現金(資産)が20円増加します。

 

設例8

50円の商品を仕入れて現金を支払った。仕入れた商品のうち10円の値引きを受けた。

借方 金額 貸方 金額
仕入 50 現金 50

仕入(費用)が50円増加し、現金(資産)が50円減少します。

 

借方 金額 貸方 金額
現金 10 仕入 10

仕入(費用)が10円減少し、現金(資産)が10円増加します。

 

 売上諸掛・仕入諸掛

諸掛とは、売上や仕入の時にかかった費用のことです。費用には、運送費・保険料・手数料等があります。どちらが費用を負担するかによって仕訳が違ってきます。売上にかかる費用を売上諸掛、仕入にかかる費用を仕入諸掛といいます。

 

 売上げた側(当社)が費用を負担する場合

売上諸掛が発生します。企業によって様々な勘定科目が使われますが、日商簿記3級では発送費(費用)という勘定科目を使います。

 

 設例9

100円の商品を売って代金を掛けとした。運送料20円を現金で支払った。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 100 売上 100

売掛金(資産)が100円増加し、売上(収益)が100円増加します。

 

借方 金額 貸方 金額
発送費 20 現金 20

発送費(費用)が20円増加し、現金(資産)が20円減少します。

 

 売上げた相手方(売上先)が費用を負担する場合

立替金(資産)が発生します。また、売掛金(資産)に含めて処理する方法もあります。

 

 設例10

100円の商品を売って代金は掛けとした。運送料10円を立て替え現金で支払った。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 100 売上 100

売掛金(資産)が100円増加し、売上(収益)が100円増加します。

 

借方 金額 貸方 金額
立替金 10 現金 10

立替金(資産)が10円増加し、現金(資産)が10円減少します。

 

 

 設例11

100円の商品を売って代金は掛けとした。運送料20円を立て替え現金で支払った。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 100 売上 100

売掛金(資産)が100円増加し、売上(収益)が100円減少します。

 

借方 金額 貸方 金額
売掛金 10 現金 10

売掛金(資産)が10円増加し、現金(資産)が10円減少します。
日商簿記3級の検定試験で指定された勘定科目に立替金がない場合、上記の通り運送料は売掛金となりますので注意して下さい。

 

 仕入れた側(当社)が費用を負担するとき

仕入諸掛が発生します。仕入諸掛は仕入原価に含めますので仕入で処理します。

 

 設例12

50円の商品を仕入れ掛で支払った。運送料20円を現金で支払った。

借方 金額 貸方 金額
仕入 70 買掛金 50
    現金 20

仕入(費用)が70円、買掛金(負債)が50円が増加し、現金(資産)が20円減少します。

 

 仕入れた相手方(仕入先)が費用を負担するとき

立替金(資産)が発生します。

 

 設例13

50円の商品を仕入れて掛けで支払った。運送料20円を立て替え現金で支払った。

借方 金額 貸方 金額
仕入 50 買掛金 50

仕入(費用)が50円増加し、買掛金(負債)が50円増加します。

 

借方 金額 貸方 金額
立替金 20 現金 20

立替金(資産)が20円増加し、現金(資産)が20円減少します。

 

 

 参考事項

仕入諸掛と売上諸掛では、仕入諸掛は仕入に含めるのに、売上諸掛は売上から直接引かないの?と思いませんでしたか?ざっと説明しますが、日商簿記3級をマスターするのには大きな回り道になりますので、とりあえずなんか理由があるんだぐらいでとどめておいて下さい。
売上の時、売上諸掛を売上から引かないのは、後で学ぶ損益計算書を作るときの基本となっている”費用収益対応の原則”などの考え方に従っているからです。この費用収益対応の原則というのは、日商簿記1級や税理士試験科目の財務諸表論で学びます。売上の費用は売上原価なので、それを対応させるため、売上のための諸費用は別に表示するということです。

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